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昔の手芸屋と下着の件続き

自分の根本的な間違いに気がつきました。
フランス語が弱いせいで、すっかり勘違いしたということが今日発覚。

中世の手芸屋で裁縫用具や化粧用具と共に売られていたらしいlingerie ですが、lingerie ランジェリーという言葉は英語や日本語で下着(特に女性の)という意味なので、てっきり「下着」と解釈してしまった。

フランス語でも、そういう意味はあるのですが、それは派生で昨今そういう意味で使われている、というだけで、もともとはlingeのものというか、フランス語が弱いのでrie の末尾にどういう作用があるのかちょっとはっきり分からないのですが、とにかくlinge de maison, linge de lit, linge de table, linge de nuit, 等のlinge にrieがついているのですよ。

英語で言う、linen ですよ。麻のリネンではなくて、ベッドリネンとかのリネン。テープルクロスとか、ナプキンとか、タオルとか、枕カヴァーとか、ネグリジェとかパジャマとか、そういうリネン類。だいたい白いコットン製で、刺繍やレースがついている、そういうおうち用雑貨というか、それがリネン、linge。

で、この記事へのふくさんのコメントにもあるように、昔の下着は、そういったものの一部で、まさに寝る時に着るような白いコットンの長めのチュニックみたいな形のものにちょっとレースや刺繍がついている場合もある、あれです。
男性は白い木綿のシャツを下着に着ていたらしい。で、それにフリルがついていたりとか。
で、chemise って、今ではフランスではシャツという意味ですけど、昔は下着っていう意味なんですよ。
日本語ではシュミーズって女性の下着の一種ですが、フランスではもともと男性も女性も着ていた下着のトップがchemiseで、それが転じて現在は日本語で言うところのシャツ。

例えば、このお芝居用のchemise を売っているサイトのページの写真をご覧下さい。コットンの、今ならワイシャツの親戚のようなものが下着chemiseであったことがよくわかる。さらに今なら女性のネグリジェのようなものもchemise下着であったことも分かる。
http://www.chemises-de-la-comedie.com/

こういう白コットン布の「下着」が全部、lingerieの一部。ナプキンやテーブルクロスやシーツと同じ仲間のlingerie、リネン類、コットンのおうち雑貨。

今でも、蚤の市に行くとやたらアンティークレースの白いテーブルクロスやらなにやら(必ず白かベージュか黒で、色物は皆無)が手芸店に売っているし、蚤の市でなくても、普通の手芸店でも、そういう刺繍用の木綿や麻の布とともに、既に刺繍されたものや、できあがったレースが売られていますよね。
さらに布地屋さんで、布地も売っているけど、シーツだとかテーブルクロスの方が多いお店もある。

ということは、Mercerie っていうのは、もともと手芸用品が主体なのではなく、リネン類lingerie、おうち雑貨が主体のお店なのですよ。

その流れ、派生で、ブラジャーなんですよ。そういったリネン類lingerie、コットンのおうち雑貨の一部としてのブラジャーなんですよ。

By AB

# by amis-paris | 2011-06-09 03:16 | その他耳寄り情報  

15区蚤の市第二弾&下着の起源

昨日は相変わらず蚤の市。
また15区ですが、今回はFelix Faure.
詳細は昨日の不器用者の記事「ボタン沢山の蚤の市!」をご覧下さい。

蚤の市を観察しながら、手芸屋と下着問題を考えます。

例えば、この刺繍糸の箱は、化粧ブラシと一緒に置いてある。
香水を置いていたBourse の蚤の市と通じるところがありますね。
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で、思い出したのが、ニットプロの会社が化粧ブラシもつくっていること。フランスの会社ではないですけどね。これもなんだか通じるところがあるのかも。

全く分からない組み合わせはこれ。レースと地球儀。
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でも、なんなく、同時代性のつながりが感じられる。地球儀って、19世紀にはとてもモダンなものだった。当時の流行、モード、そういうかんじ。

こう考えているうちに思い出したのが、学生時代に教わった歴史の先生が言っていた、「昔の人は、今の人と全く違う世界観、想像力の中で生活していた」ということ。昔のことは、異文化を理解するように接する必要がある、という教えです。自分が当然と思っていることから離れる必要がある訳です。

手芸屋と下着の組み合わせも、そういうことなのかもしれない。私たちには変な組み合わせでも、当時はまったく納得のいく組み合わせだったのかもしれない。

そこで、手芸店ではなく、下着の起源を調べてみる必要がある、と考えます。例えば、「下着」が、我々の思う下着と全然違うものかもしれない。
日本でも、昔の人は下着着ていなかったですよね。
着物の下は、男も女も、何も無し。そういう状況に出現した「下着」って、もしかしてとてもハイカラだったとか?

フランスはどうなのか。
で、ちょっと調べると。。。

フランスでも下着って比較的新しいようです。
例えばこのページによると、culotte(パンティ)は19世紀まで着用しなかったということ。スカートやズボンの下は裸だったらしいです。
http://sansculotte.perso.neuf.fr/fr/histoire.htm

ブラジャー出現も新しくて、19世紀後半。
Wikipedia のsoutien-gorge(ブラジャーのフランス語)の項によると、1889年のパリ万国博覧会が初お目見えだそうです。

下着って、モダンなんですねえ。
ここで疑問。
我々の知っている「下着」が19世紀まで登場しなかったのだったら、中世の手芸屋で売っていたlingerieは、どういうものだったのだろう?

By AB

# by amis-paris | 2011-06-07 04:13 | その他耳寄り情報  

中世のお祭り

こないだ、ジャンヌ・ダルクが捕虜になったというコンピエーニュという小さな町の「中世祭り」を見に行ってきました。ジャンヌ・ダルクの時代なので15世紀らしいのだけど、町の皆さんが当時の格好をして、中世の人々の暮らしやら、当時の文字やらをいろいろと学べるような各種ブースが出ていました。
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日本で言うと、室町時代に当たるらしいのだけど、そこに、当時のレース編みを再現しているマダムを発見。
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セーターの縦縞模様を作るために毛糸をいくつもの小さい玉にして編んだ時、あんなに文句を言った事が申し訳なくなるくらい、ものすごい数の糸つきバーをしゃかしゃかと置き換えて模様にしていきます。レース編みの編み方というのを全然知らなかった私はひたすらびっくり。
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そして、これだけ作るのに120時間分の労働だったのだとか。
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もっとこのマダムとお話したかったけど、残念ながらすぐに発たなければならず、断念。

隣には中世ぽいお洋服が展示・販売されていました。コルセットにもレース飾りがついてます。

で、脈絡もなく例の「手芸屋さんで下着」問題を考えるに(ごめんフランス語まだ読んでないのだけど)、洋服を作るのは服職人(=クチュリエ?)の仕事だったってことよね?で、手芸屋さんは、クチュリエがその材料を買いに行ったところってことよね?てことは、クチュリエが、洋服も下着も(たぶん)作っていた歴史から、「中世の手芸やさんではたぶん「下着のパーツも」売っていたというのが、いまだに残っているということなのかしら?この「手芸やさん下着問題」については、ぜひ引き続き研究したいですね。。
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by Maman Mia

# by amis-paris | 2011-06-05 07:46 | その他耳寄り情報  

15区の蚤の市

15区はrue Lecourbe の蚤の市に行って参りました。
今週末土日、rue Lecourbe の、Bd Garibaldi とrue Cambronne の間で催されています。
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Brocante rue Lecourbe
日時:2011年6月4日と5日、午前7時から午後7時
最寄地下鉄駅:Sevres-Lecourbe (6号線)

手芸店、ボタン等、さらなる詳細は不器用者ブログ「また蚤の市で骨董ボタン探し」の項をご覧ください。

スペインの毛糸メーカーKatiaのアクリル糸が単色10玉入り12ユーロで売ってたよ。rue des Volontaires との角のちょっと北。
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ボタン以外の今回の収穫はこれ。
1920年の「洗えるリボン」広告。
手洗いですよ。
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広告によると、このサテンの「洗えるリボン」、当時パリに存在したGrands magasins du Louvre というデパートで買えたということ。
Wikipedia によると、このデパート、Le Bon Marche が開店した3年後の1855年にはじまり、1974年に閉店したらしい。
リヴォリ通り沿い、Palais Royal の近くにあったらしいです。

By AB

# by amis-paris | 2011-06-05 04:32 | お店  

La mercerie (手芸店)の起源

フランスでは手芸店でブラジャーとブラジャー製作用品が売っているという"O"さんふくさんのお話から、フランスの手芸店ではどうして下着が売っているのかがとても気になります。

何か由来があるに違いない、と、知りたがりやのジョージABはうずうずして、ネットで調べることに。
で、こんなページが出てきました。
La France pittoresque というフランスの文化遺産の歴史を解説しているサイトから、Métiers anciens / oubliés (いにしえの職業)のMerciersの項
http://www.france-pittoresque.com/spip.php?article1139

総フランス語で、しかも立派な文体で、ちょっと気後れ。
でも、ホントに興味があれば、フランス語でも読めるものなのですね。。。
読みました。

出だしがいいです。
   
   中世の頃、「あらゆる業者の中で、何もしない人たち」と言われた、それがまさにこの職業の定義であった。

当時は自分で生産したものを売る、というのが主流だったのですが、手芸屋さんたちは、生産者と人々の間に商売をつくっていて、自分では何も生産しなかった、ということだそうです。

12世紀にはもう、手芸屋さんがいたらしいです。
で、下着(lingerie)や、化粧品(accessoires de toilettes)、裁縫用具(instruments nécessaires à la couture)を売っていたらしい。

既にこの時点でもう下着。
なぜ下着かは結局よく分からない。
異国のお宝を集めて売るという業者も多かったそうで、言ってみれば、商社のはしりですね。
シルクを特に扱っていた、ということで、そういうことも関連しているのかな。シルク下着とか。(全然違う???) 

でも、「化粧品」ではっと思いおこしたのは、昨日Bourse の蚤の市で見たアンティークレースや裁縫パターンを売っていたお店が、香水を売っていたこと。これも当時からの名残りなんでしょうか。

パリでは12世紀頃、 rue Quincampoixに手芸屋さんは集まっていたらしい。
今は地下鉄駅Rambuteau の近く、Sebastopol 大通りを一本東に入ったところにある、3区と4区をまたがる小さな通り。

当時の手芸屋さんの絵がいくつかありますが、いいですね。
私はもともと社会史が好きなので、こういうものを見るとわくわくするんです。
これから蚤の市や古本屋で、骨董ボタン以外に、こういう手芸関係の古いリトグラフを探そうかな、と思いつきました。

By AB

# by amis-paris | 2011-06-04 03:21 | その他耳寄り情報